脳の中の〈辞書〉

・脳の中の〈辞書〉

 ディスレクシアであるかどうかを見るチェックリストのひとつに、意味のない文字の羅列(ノンワード=無意味言語)と、意味のある言葉を読ませて、読む速度や間違いを見るというものがあります。例えば、〈ふはき〉 と 〈はらん〉。人は、まず 〈ふはき〉 と音にして、次に自分の脳の中の 〈辞書〉(レクシコン)に貯めた言葉の中から、〈ふ〉 から始まる言葉を探します。

 しかし、〈ふはき〉 は意味のないものなので、当てはまる言葉がありません。ですから、ディスレクシアでない人は、〈ふはき〉 を音に変えるほうが、〈はらん〉 を音に変えるよりも時間がかかります。ところが、ディスレクシアの人は、どちらにしろ脳の中に辞書ができていないので、〈ふはき〉 も 〈はらん〉 も、同じくらい時間がかかるのです。つまり、文章を読むためには、脳の中の辞書に言葉が貯められていることが必要なのです。